―生徒会室―

  夕日が差し込む部屋で2人の生徒が忙しそうに書類に向き合っていた。
  ひとりは銀縁メガネがやけに似合う男子生徒でもうひとりはショートカットの女生徒だ。
  どちらも如何にも生徒会という顔をしている。

 「報告書は上がっているかい?」

  銀縁のメガネを書けた男子生徒が女生徒に向って言った。

 「はい。今回の件の報告書です」

  部屋の中央の席に座っている男子生徒に彼女は紙の束を差し出した。

 「有難う」

  それを受け取ると彼はざっと目を通していく。
  突如、彼の顔が歪んだ。
  その目線の先にはこうあった。


 『短期留学にて2年3組の生徒により空港内でトラブルが発生。』
 『トラブルの詳細は不明。証拠、形跡も同生徒が消去した模様。』
 『主犯は馬宮――』


  彼は紙の束を机に叩きつけた。

 「くっ!……あのアホどもが問題起こしてきたな!」




死闘的学生食堂

#01 五里霧中 〜一難去らずにまた一難〜





 「副会長。お気を確かに」

  女生徒が落ちた資料を再び彼に手渡した。

 「あぁ済まない。美咲くん」
 「お気持ちは判ります」

  これまで彼らは馬宮の暴挙を黙って見のがしていた訳ではない。
  今までも何度か事件を起こした馬宮らを処理しようとした事があった。
  しかし、もとサンは罰せられる事は無かった。
  その訳はこの学校の特殊なシステムにあった。
  この学校では生徒に自治権がある。
  学校運営や試験以外の全ての行事は生徒会が執り行っている。
  生徒会は会長、副会長、書記2名、会計3名の計6名で運営されている。
  生徒会に与えられた権限は多々あり、校則なども自由に創れる。
  それに対する機関に風紀委員会がある。
  彼らは生徒を校則によって取り締まる権限が与えられている。
  その権限は生徒会にも及ぶ、つまり生徒会の独裁を防ぐ為に彼らが居るのだ。
  因みに風紀委員は委員長、副委員長2名、委員9名、計12名で構成されている。
  もとサンには生徒会役員が3名、風紀員が1名いる。
  その為、もとサンで起こった事件のほとんどが――森崎が証拠を消した為――不問に
  なってきたのだった。

 「――久保副会長」

  彼が思案を巡らせていると美咲が声をかけてきた。

 「校則で処罰できないなら、物理的に排除しましょう」

  その言葉に彼は一瞬呆気にとられた。
  普段の温和な性格な彼女からは想像も出来ない発言であった。
  それだけ、もとサンもとい馬宮に不満があったのだろう。

 「……良いだろ。しかし、美咲くんにしては過激な提案だな」

  彼は微笑みながら美咲をみた。
  久保の言葉で我に帰った彼女は頬を紅く染め顔を下に向けた。
  照れ隠しのつもりなのか、彼女はさらに過激なことをのったまった。

 「清き水に住めない魚なら――いっそ滅んでしまえば良いのですよ」

  これを聞いて久保顔を引きつらしたが、下を向いてた彼女は気付いていなかった。


 ―高校校門―

 「ふっ……今日から学校か」

  馬宮は校舎を見上げ感慨深く呟いた。
  英国で受けた傷の為、体中に包帯で覆われておりハッキリ言って不気味である。
  学校に入ろうとしたが校門は閉まっていた。
  愛用の懐中時計を見ると9時半をさしていた。
  試しに引いてみるがびくともしない。

 「ぬっっーー」

  渾身の力を込めたが門はピクリとも動かなかった。
  もっとも彼の貧弱な身体で足掻いたところで開くわけが無かった。
  仕方が無くよじ登って入る事にした。

 「ふっ〜初日から遅刻か〜まぁ別にいいか」

  気にせず歩いていった。
  しかし、昇降口も全て閉ざされていた。
  カジャカチャ――確認してみたが鍵がかかってた。
  周りを見渡してみた。
  授業中のはずだが物音ひとつしていない。

 「……」
 「そこ何やってんだ?」

  ぼけっと突っ立てた馬宮が不審者に見えたのだろう。
  用務員のおっさんが声をかけてきた。

 「なんでか学校が閉まってんっス」

  馬宮は状況が判らなかったのでとり合えずおっさんに聞いてた。

 「何言ってんだ?今日は学校休みだろうが……」

 「はぁ?」

 「今日はここの創立記念日だろうが……聞いてなかったのか?」

  ……

  …………

  ………………


「しまったぁ〜 しまったぁ〜  しまったぁ〜」


  馬宮の空しい絶叫が静かな学校にこだました。

―― To be continued ――




 次回予告

 生徒会に完全に目をつけられた……馬宮
 意外と過激な美咲の発案が実行され
 昼休みを目前とした馬宮達に生徒会の刺客が迫る?!

 『その激辛カレーパン(限定10個)は俺のモノだ……』

 『ココでの戦い方を教えてあげるわ!!』

 「負けるかーーー!!!」

 混沌とかした学生食堂でに弱肉強食な闘いが始まる(予定)
 馬宮は昼食を食べれるのか?(未定)
 今回は著作権は大丈夫だろう(希望的観測)

 #02 四面楚歌

 次回もサービス、サービス


企画/原案(主犯) バト  協力(共犯) 悪魔のパッソル
爆走書記はフィクションです。人物、組織、場所、事件等全て架空の存在です。

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