−イギリス某浜辺−

  青空の海岸に学生らしき男が釣り竿を抱えて歩いて来た。
  グレーのブレザーに紺のズボンでブレザーの胸にはF.Umamiyaと書かれた
  ネームプレートが付けてある。

 カゥ〜カゥ〜カゥ〜〜

  彼の頭上をを数羽のカモメが飛んでいった。

 「まぁ、今日は釣りを楽しむとしますか〜」

  適当な場所を探して腰を降ろした。

 「もう留学も終わか〜」

  彼は短期留学―期間は5週間―でイギリスに来ていた。 
  授業は今日の午前で終わり、明日は観光、
  そして、明後日には日本に帰る予定になっている。

 「釣りはいいね…釣りはリリンの生み出した文化の極みだよ」

  某作品をパクったセリフを呟きながら30ポンド(約6000円)で買った釣り竿を振る。

 「ふんふん〜ふんん〜ふふんん〜♪」

  歌を口ずさみながらあたりを待った。
  この後に起こる己の不運も知らずに……




思いたったら開幕戦!?

#01 Sister Crisis 〜英国の修道女〜





  買い物篭を持った少女が港に向かって歩いて来た。
  少女のテンションは日本の株価なみに下がっていた。
  彼女はある孤児院に住んでいた。
  今日はお使いで街にやって来たのだ。
  買い物が終わり帰ろうとしたが財布がなかったのだ。
  立ち寄った店に戻り探してみたが見つからなかった。
  そのまま帰るのも何となく気まずかったので街を彷徨っていたのだ。
  何時の間にか港についていた。
  ふと前を見ると釣りをしている人がいた。
  この辺で釣り人など珍しくは無かったが何となく声をかけてみた。
  ラテン語で……

 『なにやってるん?』


 「ん?」

  馬宮が声のした方に見ると少女が独り佇んでいた。
 『なにやってるの?』

  少女はラテン語で話してきたので、もちろん彼に伝わらなかった。
  馬宮は少ない脳細胞をフル活用して答えた。

 「釣りはいいね……釣りはリリンの生み出した文化の極みだよ……そう思わないか?」

  頭の悪い回答だった。


  男がこちらを振り返った。
  髪はぼさぼさ、眼は眼鏡で見えない、口まわりは髭でぼうぼう。
  どっから見ても不信人物だ。

 「釣りはいいね……釣りはリリンの生み出した文化の極みだよ……そう思わないか?」

  日本語で話してきたので何を言っているのかは解からなかった。
  だが、彼女にはこう聴こえた……

 『なんだ……お子様はさっさと帰りなさい』

  財布を落として気分がブルーだった彼女は、男の言葉にちょっとキレた。
  この時、ある神父様の言葉を思い出した。

 (暴力を振るっては天国にいけません)
 (暴力を振るって良い相手は異教徒どもと化物だけです)

  少女は改めて男を見た。
  どう見ても神に仕える人間ではなさそうだ。
  髪は乱れ、眼鏡は妖しく光り、髭は伸ばしっぱなし。
  もしかしたら、人間じゃないかもしれない。
  異教で化物ならば暴力振るっても問題は無い。
  足元に転がっていた角材を手に取った。
  これで子供の力で一撃で仕留めるのは難しそうだ。
  角材を捨て他に武器は無いか探してみる。
  石が転がっていた。
  袋に石を詰め込み、足音をたてない様にして男の背後に近づいた。

 『――Amen』

 少女は勢いを付け石の詰まった袋を後頭部めがけて振り下ろした。

 「ぐふぇっ」

  馬宮の後頭部に見事にヒットした。

 「お、おやじにも殴られたことないのに〜」

  謎の叫びを上げ海に落ちた。
  さらに突如起きた高波にさらわれ海中に消えていった。
  侮り難し最近のお子様。

  少女がふと足元を見ると財布が落ちていた。
  拾って中身を確認してみたが、たいした金額は無かった。
  彼女は一瞬迷ったが、「これも神様のお導きよね」と、
  都合よく解釈して財布を持ってこの場を足早に去っていた。

 カゥ〜カゥ〜カゥ〜〜

 カゥ〜カゥ〜カゥ〜〜

  青空を何事も無かった様にカモメ達は飛んでいった。

―― To be continued ――




 次回予告

 謎の少女と激闘の末、海に叩き落とされた……馬宮
 意識を失い海中に沈みゆく彼を助けたのは意外な人物だった
 目が覚めるとそこは鮮血と銃弾の雨が降る戦場だった?

 『塵は塵へ……』

 『ハハハッ……こんなに愉快なのは久しぶりだ……』

 「ここには普通の人間はいないのかーーー!!!」

 本人の意思をよそに自体はどんどん悪化していく(予定)
 馬宮は生きて日本に帰れるのか?(未定)
 そして、著作権は大丈夫なのか?(マジで)

 #02 Crazy Time

 次回もサービス、サービス


企画/原案(主犯) バト  協力(共犯) 悪魔のパッソル
爆走書記はフィクションです。人物、組織、場所、事件等全て架空の存在です。

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